LONCO JOURNAL ロンコ・ジャーナル

PHILOSOPHY

  • 2020.09
  • 「アフターコロナの物流不動産投資」

2020年8月27日
10:30~12:00
三井物産ロジスティクス・パートナーズ株式会社
代表取締役社長: 亀岡 直弘 様

インタビュアー:
福西 靖之(株式会社ロンコ・ジャパン 代表取締役社長)

代表取締役社長 亀岡 直弘様

今回は、三井物産ロジスティクス・パートナーズ株式会社 代表取締役社長 亀岡 直弘様に
「アフターコロナの物流不動産投資」を中心として、インタビュー形式でお話をお伺いしました。

●亀岡 直弘様 略歴
慶應義塾大学 大学院にて修士課程を修了後、2002年4月に三井物産に入社。三井物産や同社関係会社にて資産運用業、証券業等の金融ビジネスに従事する等、入社以来一貫して投資家に価値を提供する仕事を担当。2004年6月、ジャパンオルタナティブ証券株式会社(現三井物産オルタナティブインベストメンツ株式会社)出向。日本ロジスティクスファンド投資法人のプレREITファンドの組成及び機関投資家向けの販売に従事。英国駐在や、不動産私募ファンド及び私募REITの運用会社である三井物産リアルティ・マネジメント株式会社への出向等の後、2016年10月より株式会社かんぽ生命保険へ出向し、不動産ファンド・PEファンド・インフラファンド等への投資を行う投資チームの立上げ及び投資業務に従事。2019年2月より現職。
●三井物産ロジスティクス・パートナーズ株式会社様の概要
三井物産ロジスティクス・パートナーズ株式会社は、日本ロジスティクスファンド投資法人(日本ロジ)の資産運用会社として、三井物産・三井住友信託銀行・ケネディクスの3社の出資により、2004年7月に設立。日本ロジスティクスファンド投資法人(以下、「日本ロジ」)は三井物産をメインスポンサーとして2005年に上場した日本初の物流REITです。主として首都圏、近畿地域、中部地域及び九州地域に所在する物流施設の取得や保有物件の再開発により、ポートフォリオの資産価値の向上を図り、含み益を増大させることで、安定した収益基盤を構築しています。また保守的な財務運営により業界内でも高い水準の格付を取得する等、強固な財務基盤を有しています。ポートフォリオは、2020年7月末時点で合計49物件・取得価格総額2,695億円(鑑定評価額3,498億円)の不動産を運用しています。

三井物産ロジスティクス・パートナーズ株式会社ロゴ

対談テーマ
「アフターコロナの物流不動産投資」

  • (1)物流不動産投資の現況
  • (2)物流施設開発・投資のポイント
  • (3)今後の物流不動産予測

対談写真

物流不動産投資の現況について、新型コロナウィルス感染症の影響を踏まえてお聞かせください。
REIT市場においては3月に調整局面があり、東証REIT指数は同月中に約▲20%と⼤幅に下落しました。現在は回復基調にありますが、特に物流REITは収益の安定性が高いことが改めて評価され、新型コロナウィルス感染症の感染拡大前の水準を回復しています。新型コロナウィルスによる巣ごもり消費によりアマゾンや楽天を代表とするEコマース消費が拡大し、Eコマース関連の物流会社の需要が増加傾向にあります。また、個別の事業者によると新型コロナウィルスの感染拡大前よりも忙しくなったという声も聞こえている状況です。Eコマース・インターネット通販は今後も成長するカテゴリーであり、それに伴い物流施設需要も継続していくことが予想されます。契約期間が比較的長期なケースが多く、キャッシュフローが安定している物流不動産は、投資対象としての魅力がより高まっていると感じています。
御社の運用物件における稼働率の状況は如何ですか?
新型コロナウィルスの感染が拡大していた状況下でもリーシングは順調な状況で、ほぼ100%の稼働率を継続しています。先程お話しした通り、巣ごもり消費などにより、特にEコマース関連や日用品を中心に床需要は堅調です。また、日本ロジのテナントは、70%以上が消費者向けの荷物を扱っており、新型コロナウィルスの感染拡大の影響を受けにくいテナント構成であるといえます。
次に「物流施設開発・投資のポイント」についてお伺いします。
やはり立地が重要だと考えています。日本ロジが保有している物件が賃貸用物流施設である以上、ロンコ・ジャパンさんのようなテナントに借りていただけるかどうかが最も重要なポイントですが、逆にそのテナントが拠点開設において最も重視しているポイントが立地だという調査結果があります。特に立地で重要なのは配送の利便性と共に、庫内で働く方々の雇用が容易かどうかというところです。従って、我々も物件取得の際の立地評価に関しては、上記のような点を大きな判断材料にしています。
日本ロジのポートフォリオは、投資物件の約70%が物流施設の一等地と言われる東京湾岸線及び国道16号の内側に立地しています。これは日本ロジが日本初の物流REITとして、物流施設が投資対象として広く認知される前に投資を行ったことが成功要因であると考えています。
投資対象は、首都圏を中心に考えられていますか?
首都圏の需要が高いために、結果的にポートフォリオの約80%が首都圏という状況になっていますが、投資スタンスとしては首都圏に限定しているのではなく、お客様のこれまでの需要の結果としての状況です。現在の投資先は、大阪圏や名古屋圏、福岡圏にも広がっています。ロンコ・ジャパンさんが開発された愛知県の愛西物流センター(プロフィットマート愛西)への投資もその一つです。
投資取組の特徴としては、どのようなものがありますか?
多くの物流REITはスポンサーがデベロッパーであるケースが多いため、彼らのスキームは、スポンサーであるデベロッパーが土地を購入し、物流施設を建築した上で系列のREIT等に売却するというパターンが一般的です。一方我々の特徴は、スポンサーがデベロッパーでないが故の独自の取組みに力を入れている点にあります。そのような独自の取組みの一つが物流施設の現在の所有者にソリューションを提供することにあります。もしその物流施設の保有が所有者の本業の成長に直接資するものでないのであれば、日本ロジに売却することで本業の成長資金を調達するという選択肢をご検討いただきたいと思います。キャピタルマーケットと不動産マーケットをつなぎ、ソリューション提供を行うこと。このような取り組みは日本ロジの特徴の一つであると考えています。
今後の物流不動産投資について、投資基準としているものがあればお聞かせください。
現在、物流施設の新規供給が高い水準で継続していますが、同時にそれらの物流施設に対する需要も供給量に追いついており、空室率は過去にない低さを保っています。一方金融市場では、かねてより低金利、マイナス金利環境下で運用難にある投資家のマネーが不動産投資に流入してきていましたが、上記のように新型コロナウィルスの感染拡大の下でもキャッシュフローが安定しているアセットとして、物流施設が特に投資家から注目を集めており、結果として物流施設の価格は高値で推移しています。
こうした環境下においても、日本ロジでは分配金の成長を達成し、投資主価値の向上を目指していくために物件を取得していく必要があります。この際の資金調達手段として公募増資が有力な選択肢となりますが、その際に、この増資によって将来の分配金を増やすことが出来るのか、既存投資主の賛同が得られるのかという点、つまり資本コストに見合った利回り(価格)で物件を取得することができるかどうかを重要視しています。現状の取得利回り目線としては、平均NOI利回りで4.5%以上の物件を取得していきたいと考えています。

本日は、貴重なお話をお伺いさせていただきました。ありがとうございました。

全体写真